財産塾かわらばん 2月号 相続財産の分割でもめないようにするために
相続財産の分割でもめないようにするために
いざ相続が起こった時に、相続財産の分割でもめないようにするには、生前からの準備が必要となります。自分の後を引き継ぐ家族が、今後も幸福な人生を送れるような配慮として、遺言書を作っておく、という選択肢があります。遺言には次の三種類があります。
①自筆証書遺言
文字通り、遺言書を自分で手書きします。書きあがったら最後に日付を入れ、氏名を自署、押印すれば完了です。ただ、相続が発生した際には、この遺言書を有効とするためには、家庭裁判所で開封してもらう「検認」という手続きが必要です。自分の思いを誰にも知られず作成できる反面、死後に遺言書が発見されない、書き方によっては無効となってしまう、また相続人等に変造される可能性などがあります。
②公正証書遺言
公証役場の公証人に遺言の内容を伝え、遺言書を作成してもらいます。相続が発生した場合は、遺言執行人が遺言書通りに遺言内容を執行する事となります。遺言として不適切な内容は、事前に公証人からアドバイスもあるので、執行する際に問題が起こらない、公証人が遺言書を保管するので、紛失・変造の恐れがない、というのが公正証書遺言の良いところです。
財産の価額によって公証人へ支払う手数料が上がります。
③秘密証書遺言
これは文字通り本人以外内容を知り得ない秘密の遺言です。自筆でなくてもパソコンで作成してもかまいませんが、署名だけは自筆でする必要があります。作成後、内容は明かしませんが公正証書遺言と同じく、公証役場で自分の遺言であることを告げて一定の手続きをし、保管してもらいます。内容を秘密にでき、紛失の心配もないですが、公正証書遺言の様に公証人のチェックが入らないため、自筆証書遺言同様、不適切な表現により、遺言が無効になる可能性があります。
相続が争族にならないためにも、できれば遺言に書く財産の分け方について、どうしてこの様な分け方に決めたのか、事前に相続人全員に説明し、納得の上で作成する事が望ましいと思います。また、付言事項といって、財産の分け方以外に、自分の亡き後、相続人達にどんな風に過ごしてもらいたいかなどの思いも遺言には書くことができます。