財産塾かわらばん 1月号 相続税の税務調査と事前対策について(その二) 

相続税の税務調査と事前対策について(その二)

②他人名義の預金・株式

調査官が調査に訪問する目的は、現物確認調査で、相続財産の漏れはないかどうかということです。
過去に相続した事実や、贈与を受けた事実があれば、その後の状況が尋ねられ、過去に土地を譲渡した事実がある場合には、その譲渡代金の行方を尋ねられます。特に、家族名義預金や家族名義株式などは、(イ)贈与税の申告はされているのか(ロ)その取得資金は誰が出しているのか(ハ)誰の印鑑か(ニ)管理は誰がしているのか等問題にされます。

③印鑑と重要書類について

先の家族名義の預金に、死亡した本人の資金が流れていないかなどを確認するため、全ての印鑑の印影をとります。まずは、朱肉をつけずに押印(空押し)し、次に同じ印鑑に朱肉をつけて押印します。最初に朱肉をつけずに押印するのは、最近この印鑑を使用したかを確認するためです。最近使った形跡がある場合には、何に使用したのか追求されます。
その他財産関係の重要書類(不動産の権利書)が保管されている場所(机の中、金庫、銀行の貸金庫等)へは調査官も同行し、現物を確認します。
なお、調査官に言われた通り全て見せる必要はありません。しかし、一般の人には拒否しづらいと思います。その辺は相続税調査に慣れた得意な税理士に依頼すべきかと思います。

(三)税理士との事前準備

①税務調査に対する心構え

「税務調査に対する虎の巻」があるわけではありません。要するに、税務署員に正々堂々と対応できるように、相続税の申告の段階から〝故意に隠さない、嘘をつかない〟ということに尽きます。そして、もし申告段階で仮名預金や株式がある場合は、すみやかに税理士に打ち明けて、相続財産として申告することです。
さらに、金庫、机、貸金庫等の中身を整理すること、印鑑の管理も正しく行っておくことが大切です。

②家の中を整理整頓

相続税の申告書がすんなり通る事例は少ないです。もし調査中になにか隠しているものがあると判断された場合には、金庫の中は勿論、机の中、仏壇の引出、タンスの中、寝室の中のサイドボード、ベッドの下、屋根裏や押入れの中など、正に〝家宅捜索〟が行われる場合もあります。

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