財産塾かわらばん 12月号 「マイホームと税金 ④」
~ 譲渡損失が発生したら ~
土地の価格が値下がりしている現在の状況では、バブル期に購入した住宅を売却した場合、多額の譲渡損失が発生することも珍しくありません。通常、土地や建物など分離課税となる財産の譲渡により生じた損失は、給与所得などと通算することはできません。しかし、住宅の譲渡により生じた損失については、
一定の条件を満たすことにより、他の所得と通算することが可能となります。
(1)居住用財産を買換えた場合の譲渡損失の損益通算・繰越控除
住宅の買換えに伴い譲渡損失が生じた場合において、以下の要件をすべて満たせば、その譲渡損失の
金額について他の所得との通算(損益通算といいます。)ができ、損益通算しても控除しきれない金額については翌年以降3年内の各年分の所得から繰越控除を行うことができます。
①平成18年12月31日までに、その年1月1日において所有期間が5年を超える居住用財産
(譲渡資産)を譲渡すること
②新たに居住用財産(買換資産)を取得し、居住の用に供する(見込みである)こと
③その年12月31日において、買換資産に係る償還期間10年以上の住宅借入金の金額を有すること
④繰越控除を受ける年分の合計所得金額が3,000万円以下であること(繰越控除のみの要件)
(2)特定居住用財産の譲渡損失の損益通算・繰越控除
(1)のように新たに居住用財産を取得しない場合でも、以下の要件をすべて満たすことにより、損益通算
及び繰越控除の適用がうけられます。
①平成18年12月31日までに、その年1月1日において所有期間が5年を超える居住用財産
(譲渡資産)を譲渡すること
②譲渡契約を締結した日の前日において、譲渡資産に係る償還期間10年以上の住宅借入金の金額を有すること
③繰越控除を受ける年分の合計所得金額が3,000万円以下であること(繰越控除のみの要件)
なお、損益通算等の対象となる金額は、次の(イ)又は(ロ)のうちいずれか少ない金額となります。
(イ)譲渡損失の金額
(ロ)譲渡契約締結日の前日のローン残高 △ 譲渡資産の譲渡対価の額
(いわゆる、オーバーローン部分の金額)