財産塾かわらばん 11月号 「シリーズ 相続対策②」
~相続税対策を考える(その2)~
前回に引き続きシリーズで相続対策について書きます。
今回は分割、すなわち財産分けについてです。
財産分けは各相続人の考えや承継させる人の考えによってスムーズにいかない
場合もあるわけですが、今回はうまく分割できなかったときの問題点について
書きました。
分割が決まらないと生じるいろいろな不都合
1 相続財産が自由に使えない
預金であれば引出ができない。だから、金融関係に知られる前に引き出す方もいます。
もちろん、その分は相続財産に入りますので財産分け、申告には加算する必要が
あります。
不動産のときは、借入の担保になっていなければ、とりあえず現状のまま使用可能です。
そのため、ほったらかしにする方もいますが
建築、借入、などのときに困ることになります。
その間に相続人が亡くなるとさらに手続きが面倒になります。
2 相続に係る次の特例が使えず不利益をこうむります
① 納税猶予
生産緑地や調整区域の農地については、申告期限までに申請すると
納税猶予がうけられます。それ以降はうけられません。
② 配偶者税額軽減
配偶者の法定相続分内での取得は税金がかからない特例
③ 小規模宅地の評価減
自宅や事業用に使っている土地については、生活保全や事業継続のために、
80%(50%)の評価減がみとめられています(面積は200㎡から400㎡まで)
④ 物納
納税において、現金納付や延納ができないときに、相続した土地そのものを収めることができます。
なお、③小規模宅地と④配偶者軽減については、
申告期限より3年内に分割が決まって、申告すれば認められます。
次回は分割による対策について掲載します。