財産塾かわらばん 10月号 「小規模宅地で8割も評価が下がる!」

小規模宅地で8割も評価が下がる!

22年度の相続の関係で大きく変わった点の一つに小規模宅地の評価があります。

相続税を計算するとき、各資産をまず評価する必要があります。
今回は小規模宅地の評価のうち、居住用すなわち自宅の土地の
評価の改正についてのお話です。

この適用を受けることができれば、8割も評価を下げることができます。
1億円の自宅地も2千万円で計算されるので、効果は絶大です。
相続で自宅を守るための配慮によるものです。
今回の改正でその適用範囲が厳しくなりました。
なお、受けられる面積は240㎡までで、評価の高い土地の方が
評価減が大きいです。

改正後の評価減を受けるためには次の条件によって異なります。

1. 居住用の土地のいずれを受けるか、
  つまり、被相続人の自宅か生計を一にしていた親族の自宅か
2. その土地をだれが相続するか
3. 相続前と相続後の土地の使い方

以上をまとめて、表にすると次のようになります。

被相続人の居住用に使っていたとき

             相続前              相続後
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
  配偶者相続      特になし          特になし
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
  子相続        同居のとき         申告期限まで保有・居住
             生計一のとき        申告期限まで保有・居住
             3年内自分等の持家なし   申告期限まで保有
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

生計一親族の居住用のとき

             相続前              相続後
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
  配偶者相続     特になし              特になし
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
  子相続       生計一のとき          申告期限まで保有・居住
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改正で今までと大きく変わったこと

    
1. 共同相続のとき、誰かが該当すれば他の相続人も使えたものが
各人ごとの判定になったので、使えない人がでる
    
2. マンション等の一棟の建物の敷地のうち、一部居住用に使用していれば
他の部屋が賃貸に使用されていても、全体が対象になっていたが
居住用と賃貸用に区分してそれぞれ計算することになった

今後予想されるケースとその対応として

夫から妻へ自宅の相続では、同居している妻であれば問題なく受けられる。
問題は妻から子への相続で、子が別居で自宅所有の場合は適用できない

対応
同居する
二世帯住宅にする
子が自宅を売却して、近くに賃貸で住むなどが考えられます。

今回の改正は、22年4月からの適用になります。
次回は、同じ小規模宅地の評価減で、事業用に使われている分についてお話です。

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