財産塾かわらばん 10月号 「分割の仕方で税金が変わる」
分割の仕方で税金が変わる
先月号に続いて分割の話です。
今までは分割できない場合の不利益、分割をスムーズにする方法等の
話をしてきましたが、今回は節税・納税を中心に考えた分割でトクする
方法です。
1. まずは、相続税を安くする分割の仕方です。
①配偶者がいる場合の分割
1次、2次の相続税の合計を考えて配偶者と子供の分割を考える。
1次では配偶者にやや少な目の方が節税になるケースが多いです。
値上がりしそうな財産・収入の上がる財産は子供が相続する。
退職金等は子供が相続できるようにする。
小規模宅地の評価減を2度活用・・・住宅用、事業等宅地の一定面積は
80%の評価減があります。それを1次の相続と2次の相続でうまく使う。
建築中の賃貸物件は貸家建付地等が適用できないので配偶者が相続し、
次の配偶者の相続で使います。
②次に配偶者の有無に関係なく行う分割
二路線に接する土地で路線価に差があるときは分けて相続する。
2. 相続税の納税を考えた分割
物納、延納をしやすくする。
相続税の納税はまず、現金で納付。現金がないときは延納すなわち分割納付
する。それでも納付できないとき、はじめて土地等の物納をすることになります。
従って、物納をしたいときは、それを相続する人には、現預金や
収入物件を相続しないようにする。
貸宅地などで不良資産を物納したいときも、同様な分割をする。
3. 所得税、消費税の節税を考えた分割
収入物件を別々に分割すると、所得税負担が軽減されます。
さらに、消費税が軽減または非課税にできます。
土地を売ると譲渡税がかかりますが、
相続申告後3年以内に譲渡すると所得費加算が使えるので、
それを活用して譲渡税を無税にできるように分割する。
あるいは、収用や居住用など税負担の少ない財産は、子供が相続する。
こんな感じです。
もちろん分割するには相続人の皆さんが希望を出し合って、その希望に沿う様に
することが一番です。「皆の税金を最も安くするためには、どう分割したら良いか?」という切り口で進めていくのも一つの方法ではないかと思います。