財産塾かわらばん 9月号 財産の組み替えによる対策
相続税の基礎講座連載シリーズ⑬ 財産の組み替えによる対策
財産の組み替えによる対策
(一)目的
財産の組み替えとは、現在所有している財産の構成を組み替えることによって、
相続評価を下げたり、相続税等を安くしたり、財産分けや納税をし易くする、又は、
収入のアップ等をするために行います。組み替え先は他人だけでなく、親族や
同族会社などもあり、財産は不動産と不動産、不動産と現預金・保険などです。
以下手順及び具体例をあげて説明します。
(二)手順
①収入、支出、各種税金の負担割合などの現状分析をふまえ、自分を含め家族の
将来の生活設計を考えます。
②そのための具体的方法を考えて計画を立て、同時に税金等の諸費用を最小限に
抑えるようにします。
(三)具体例
①不良資産を優良資産に組み替え
貸宅地(借地権付き)を交換や売却・購入などで処分して、現金や他の土地
に替えます。安い地代の収入では相続税等諸費用の回収ができないからです。
②便利な自宅に組み替え
老後の生活設計では不便なところより、便利な地域に移転します。それに
よって、自宅評価の8割減の特例を最大限に活用できます。
③駅から遠い戸建適地の不動産のとき、駅の近くの不動産に買い替え
収益性のアップや相続の評価下げが期待できます。
④財産分けなどで必要な資金の貯蓄や準備
不動産の占める比率が高い場合、判子代や納税のための資金を準備する必要が
あります。資産の有効活用を図りその資金を貯めたり、万一のための保険にも
加入すると良いでしょう。
⑤相続税の納税が大きい時や現預金納付や延納で納税が難しい場合
土地そのもので納税(物納)できるように、物納しやすい土地に交換したり、
物納のための測量や境界査定をします。
⑥収入の集中は所得税等の負担大
妻や子、または同族会社を作って、建物名義等を変更して所得を分散すること
で、税を軽減します。
(四)税金など組替費用の軽減
いろいろな特例を活用することによって軽減します。居住用の特別控除、
交換、事業用買換え、取得費加算や相続時精算課税贈与等を検討します。