財産塾かわらばん 9月号 なぜ相続税はかかるか?
相続税の基礎講座連載シリーズ① なぜ相続税はかかるか?
相続税のしくみから対策までを、今回より連載シリーズでお話します。
まず第一回は、なぜ相続税はかかるか? です。
(一)家督相続から共同相続への変遷
我が国では戦前家督相続が中心でした。ところが、戦後、民法の改正が実施され
まして、配偶者及び子供達の全員が財産を受継ぐ共同相続になりました。
(二)現在の相続制度の流れ
ある人が死亡した場合、死者に属していた財産上の権利義務その他の法律関係
が、すべて相続人に引き継がれます。
その遺産の引き継ぎは、遺言がすべてに優先されます。遺言がない場合は、
相続人全員で遺産分割の協議をする必要があります。この分割協議がととのった時
遺産分割協議書が作成されます。
(三)相続税の課税の根本的考え方
日本の相続税は、若干専門的になりますが、「法定相続分課税方式による遺産
取得税」によっています。
①亡くした人の遺産に対して、その金額に応じて累進税率(遺産の額が高額になる
につれて税率も高くなる)で、課税されています。それは、富の集中を阻止
するという社会的政策があるからです。
この考え方によれば、個人の生存中に富の蓄積ができた諸事情を考慮して、
相続の開始に際して、遺産の一部を社会に返還されるべきであるということ
になります。
②人の死亡および相続という時点は、死亡した人が生前において受けた税制上の
特典や相続の回避等により蓄積された財産をあらためて把握し、これに課税
するのに最も良い機会であります。つまり一生の清算をすることができます。
③遺産の金額に応じた税額が計算されるため、税負担の平等感が得られ、
不公平感を払拭することができます。