財産塾かわらばん 6月号 相続税対策の上手な進め方(その二)
相続税の基礎講座連載シリーズ⑩ 相続税対策の上手な進め方(その二)
相続税対策の上手な進め方(その二)
(二)相続税の生前対策
(1)財産の移転による方法
①積極贈与
相続税や贈与税の税率構造は、所得税と同様に所得が高額になればなる程税率も高く
なります。従いまして、課税価格が増加すればする程適用される税率は高くなります。
しかし、本来の相続税の適用される税率以下での贈与であれば、贈与によるほうが
有利です。この積極贈与は、多額の相続財産であれば税率が高いため、贈与税率との
格差が大きく、その節税効果を発揮します。このことは、次の②また③についても同様
です。
更に、積極贈与を長期的視点に立ちまして、10年~20年と実施しますと、その効果は
大きいです。
②贈与税の配偶者控除
婚姻期間20年以上の夫婦間における居住用不動産等の贈与を受けた場合には2千万円
(基礎控除を含めますと2,110万円)まで贈与税が課税されません。なお、この規定は、
相続開始前3年以内の贈与財産を相続財産に加算する規定から除かれます。
③住宅取得等資金贈与
平成24年1月1日以後より、直系尊属(親・祖父母)から住宅資金等贈与を受けた場合
は、下記金額まで非課税を受けることができます。
非課税枠 1,000万円(24年)、700万円(25年)、500万円(26年)
なお、省エネや耐震性能の高い住宅は上乗せが500万円。
④相続時精算課税による贈与
相続時精算課税とは、贈与に贈与財産(2,500万円まで非課税)に対する贈与税を
納付します。そして相続時にその贈与財産を加算したところで相続財産の価額を基に
計算した相続税額から、既に納付した贈与税相当額を控除するという制度です。
したがいまして、今の経済状況下では、土地価格は下落局面ですので、効果はないと
思います。
但し、特殊要因があって、将来土地価格が上昇する地域には積極的に使う意味が
あります。我々の現場ではあまり利用されていないようです。