財産塾かわらばん 5月号 相続税対策の上手な進め方(その一)

相続税対策の上手な進め方(その一)

(一)相続対策とは

(1)相続対策の基本

相続対策は、蓄えた財産を父母から子、孫への思いと財産を次世代にスムーズに
移転してゆくための、リレーのようなものです。相続税は最高税率50%と高く、
親子3代の相続で財産がなくなる、と言われています。
相続対策には、節税対策以外に相続争いをしないようにする分割対策と相続税を
納める納税対策があります。今回は相続財産を減らすことなく、相続税を減らしてゆく
対策です。
相続が身に迫ってから慌てて相談に来られる方々が多いですが、間近では対策にも
限界があります。丈夫な時から計画的にやりたいものです。また、対策も一度やれば
終わりではなく、人間ドックのように、定期的に財産や相続税をチェックして、状況変化
に応じて対策の見直しが必要になります。

(2)相続対策の手順

相続対策には、二種類の対策があります。1つ目は、中小企業者の未上場株式に
対するものと、二つ目は地主に対するものとに大きく分かれます。
前者は、川越商工会議所の中小企業応援センターの専門家委員として登録されて
いますので、そちらで相談させていただきます。また、紙面の都合もありますので、
割愛させていただきます。
後者の場合は、財産としての多額の土地を所有している地主さん達です。

①全財産をたな卸しをしてまず現状を把握することからスタートします。

②次に相続対策を実施する上での問題点を洗い出します。例えば、相続人間で
だれを後継者とするのか、土地を四分法で選別するとか。

③具体策を複数案作成し、納税者の意見もくみ入れ、練り直し、実行します。

④短期、中期、長期の対策に取り組み、定期的にチェックもします。

(3)土地の四分法

まず、たくさんの土地を持っている場合には、土地を四種に「色分け」します。

①死守地・・この土地は、家を守るために最後まで残さなければならないもの
      です。例えば、自宅の敷地や農業用の農地を指します。

②有効活用地・・これは、アパート、マンション、貸店舗、倉庫、事務所等に
        して有効に活用できる土地のことです。

③納税地・・これらの土地は、いざ相続が発生した時に納税のため売却や物納が
      しやすいような土地のことです。

④問題地・・貸宅地、耕作地などは、収益性や処分のしづらさという面からみると
      一般的には不良資産の土地といえます。

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